以前、私の生徒さんに
小学4年生の男の子がいました。
(A君とします)
もちろん…
彼は中学受験予定!
第一志望は人気の公立中高一貫校。
学校の成績は、
(親御さん曰く…)
「良く出来るほうだと思います」
とのこと
なるほど!
いつも学校のテストは90点以上を
取っていました
(国語以外は…)
通知表も、ほとんど◎ばかり!
(国語以外は…)
塾の模試もまずまず!
(国語以外は…)
みなさん、お気づきでしょうが…
A君の欠点は、国語が出来ない事
そして、それが致命傷となり、
塾を変えても、勉強量を増やしても
全く成績が上がらなかったのです…
学校のテストは良く出来るのに、
模試になると正解率5割
得意な算数であっても、
少し捻った文章題は
ほとんど解けません
模試の国語は、
なんと正解率1割
ほぼほぼ文章が読めていない
状況です
この状況で、
中学入試の適性検査の問題に
立ち向かえるはずもなく…
とはいえ…
私が初めて出会った時には
すでに4年生の3学期の後半
中学受験まで、
残り2年を切っていました
そして、そのA君。
指導を初めて1年2ヶ月後、
6年生の最初の模試では、
算数の正解率9割5分、
国語の正解率5割まで、
成績が上がったのです
1年2ヶ月の間、
どういう指導を行ったのか?
A君は何を重点的に頑張ったのか?
算数、理科、社会は、
ちゃんと勉強すれば
早い段階で成果が出ますが、
言わずもがな…
国語は中々成績が上がりません。
国語の成績を上げる方法は、
読書や論理国語を学ぶことですが、
1ヶ月毎日読書をしたからといって
国語の成績に直結するわけでは
ないのです。
受験まで2年を切っていたA君は、
読書や論理国語だけでは
受験までに間に合わない
そして、その上…彼には
全く読書習慣がありませんでした。
家にある本は、図鑑や漫画だけ…
小学生なら誰でも読んでいる
“かいけつゾロリ”や
“アンパンマン”などの本も
読んだことがない。
まずは、
“本を読むことに慣れる”ことから、
始めなければなりません
受験まであと2年もないのに
そんな時期から読書をさせるよりも、
受験用の問題ばかり解いた方が
効率が良いんじゃないの?
と、
思う方もいるかもしれませんが…
本を読む楽しさを
全く知らずに中学生になるよりも、
小学生の間に、
本を読む楽しさを身につけた方が
“今後、彼のためになる”
そう~私は思いました
A君が興味を持ちそうな本を
色々と紹介し、
図書館で借りては、
自分に合いそうな本を探す!
休みの日には
その作業を繰り返して貰いました。
それと並行して、
週に1回は1時間程度
論理国語の授業を行いました。
ですが…
それらは効果が表われるのに
かなり時間がかかります。
約1年後に成績が上がった理由は、
読書や論理国語の学習では
なかったと思います。
(もちろん、
やらないよりもやった方が
良かったとは思いますが…)
一番効果があった学習法は、
“間違えた問題の問題文の意味を
コンコンと説明する”ことでした。
(算数、理科、社会)
例えば…算数の問題で、
「あるみかん畑で、今年はみかんが昨年よりも4割多く取れましたが、値段は昨年より3割下がってしまいました。今年のみかんの売り上げが196万円だったとき、次の問いに答えなさい。(1)今年、みかんの値段が昨年と同じだったとすると、今年の売り上げは何円になるはずでしたか?(2)昨年の売上高は何円でしたか?」
昨年のみかんの値段の70%が
今年の値段にあたるから…
と、線分図を書き、
分かるまで説明します。
説明が終わると、今度はA君に
自分で線分図を書いて貰い、
どういう理由で
その式が成り立つのか…
立式の説明もして貰います。
「出来ないの?
じゃあ、もう一度問題文を
しっかり読んでみて!」と
自分で考えさせる講師もいますが、
私はトコトンまで説明し、
それが本当に理解出来たがどうか
再度、生徒にも説明させます。
そうすることにより、
“生徒さんが自分の頭の中で
考えを整理し、
問題文を理解出来るようになる”
という方式です
これは算数の問題だけに限らず、
社会や理科でも同様に説明します。
特に、
資料を読み取るような問題は、
“何に注目して問題を解くか?”
“出題者の意図はどこにあるのか?”
なども含めて、丁寧に解説します
そうして、
算数、理科、社会の文章題を
一つ一つ丁寧に解説して、
“問題文の読み方”を
身につけさせることにより…
「あら不思議」
国語の成績も上がってきます
A君には、2日に1回、
国語の問題集を宿題に出していました。
国語が苦手なA君、
指導し始めた頃は、
ほとんど問題文を読むこともせず、
適当に答えを書いていました
(適当に書いているのは
バレバレです~)
「また、適当に解いたね
見たら分かるんだよ~
さぁ~、
一文ずつ丁寧に読んで、
再度問題に挑戦して頂きましょう」
と、指導時間中に
もう一度、解いて貰います
国語の問題は
まずは自分でじっくり読んで、
1人で考えて貰います。
「日本語は読めるよね
小学生の国語の問題は、
日本語が読めさえすれば、
解答が導き出せるようになってる。
一度読んで分からなければ、
分かるまで繰り返し読んで!」
と、何度でも読んで貰います。
算数、理科、社会は
しっかり問題文の解説を行いますが、
国語の問題は、
出来る限り自分で解かせます。
解説するのは、
自分で何度考えても
どうしても分からなかった問題だけです。
そうすることによって、
“文章を丁寧に読む”
習慣がついて来ます
つまり…
算数、理科、社会の問題を
解説することにより、
“どのようにして問題文を読むのか”
を学び、
国語を
1人で根気よく勉強することにより、
“問題文をじっくり読む姿勢”
を身につけるのです。
(もちろん、
国語の問題を解く方法は
別途、論理国語で勉強します。)
A君、最初は国語の宿題が
かなり苦痛なようでした
当然ですよね…
慣れない小難しい文章を読むだけで
相当時間を費やしますから
得意な計算問題や理科の宿題は
早い段階で、
丁寧に解けるようになりましたが、
国語の宿題は、半年以上
半分くらい空白のままでしたね。
もうすぐ1年が過ぎる時期になり、
ようやく空白も減って来ました
苦手であっても、
苦痛であっても…
頑張って続けてきたことが、
成績アップに繋がっていきました。
国語が苦手な子に、
国語ばかり指導しても、
中々成績は上がりません。
“算数、理科、社会の勉強時に、
国語に繋がるように指導する”
合わせて、
本を読む楽しさも学んで貰う
そのように、
私は心がけています
何がきっかけで成績が上がるのか?
それは子供さんの得手不得手や
性格などによって異なります
もちろん、
出来ない事を出来るようにする事が
成績アップへの道ですが、
出来ない事ばかりに目を向け、
それを改善しようと必死になると
勉強が嫌になったり、
苦痛になる場合もあります。
得意なことを
これまで以上に伸ばしつつ、
苦手なことも頑張る
それが、
成績を上げる近道なのかもしれませんね。
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